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無限的有限 

 中学校に入学した時、最初の国語の授業は、学校の図書室でのオリエンテーションだった。
 多数の蔵書を前にして国語担当の先生はこんなことを言った。
 「これらの蔵書全てを皆さんが読み終わることは無いでしょう。知識とは既にそういうところまで来ています。」
 中学に入ったばかりで、これからどんな知識も可能性も手に入ると浮かれていた我々生徒は、鼻先にぶら下げていたある種の傲慢さにクギをさされたような気持ちだった。
 もちろんその図書室の蔵書の数は有限である。しかし我々は一つの学校の図書室の蔵書ですら、全てを読み切ることはできない。全てのものには手が届かない。それにもかかわらず、毎日毎日秒単位で印刷物が生まれている。この「知」の世界の圧倒的な「無限的有限性」に打ちのめされた。(ちなみに当時、インターネットというものは一般的ではなかったので、日常的な意味で「印刷物≒情報」であった。)
 この無限的有限性は図書室の中の話だけではもちろんない。世界には(もちろん日本に限っても、自分の住む町内ですら)今後も絶対行かない場所は必ず沢山あるだろう。
 
 光はものすごく速いように見えても無限に速いわけではなく、それにもかかわらず決して追いつくことは出来ない。宇宙の大きさも有限だが、小さな我々にとってはほとんど無限だ。 知識も世界も宇宙も、必ず別の場所、別の視点があるはずで、自分は全てを知らないし知り得ない。そういう知に対するときの構え、あるいは謙虚さのようなものを、あの図書室で、はじめて垣間見たような気がする。

-----Zoom In Zoom Out-----

■「「知」のソフトウェア」(講談社現代新書 (722))
立花 隆 (1984/01)
講談社

■「知られざる傑作―他五篇」
バルザック (1965/01)
岩波書店
[ 2007/07/31 13:52 ] TB(1) | CM(0)
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458 m/s(≒30万キロメートル毎秒)。一般的に記号cで表わされる。これはラテン語で速さを
[2007/09/30 07:55] 単位がないと不便
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 「科学と芸術、そして人間。」をテーマに、さまざまなものごとについて考えるブログです。特定の領域というよりも、領域と領域どうしの境界面のそのたたずまいに焦点を当て、張り過ぎず緩め過ぎず可能な限りバランスのとれた考察を深めることをめざしています。

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◆管理者プロフィール:
 1976年生まれ。東京都在住。自称、逍遙学派。歩きながら考えることで何かが見えてこないかと、今日も歩きながら考えている。このブログも文章のほとんどを、歩きながら携帯電話にて入力し、推敲を重ねている。

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