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顔を読む 

 人間の顔と表情に関する最近のニュースをきっかけとするひとつづきの考察…

■「顔を読む」こと=生存に必須?
 産総研の杉田陽一研究グループの発表によると、人間や猿が相手の顔を見る際には、他の物を見るときとは違う脳神経回路が働いており、その能力は成長のある時期にチューニング(ヒトの表情を読みとれるようになるか、それとも猿の表情を読み取れるようになるか)されることが分かった。赤ちゃんにとって表情を読み取ることは、親の保護を受けて生きる上で極めて重要だと考えられるという。
(文章の一部をhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=0050-jij-sociより引用)

■「顔を読む」技術
 2007年に流行った技術の一つが「顔認識」だろう。今やデジカメは自動で人間の顔にピントを合わせてくれるし、プリンターは顔がきれいに出力されるよう色調補正してくれる。顔が「笑った」瞬間にシャッターが切れるようなカメラまで出来上がった。

■表情の「読み合い」
 相手が笑っているのか怒っているのか、表情から感情を読み取る作業は子どもだけでなくわれわれが社会生活を営む上で大切だ。
 直接会うよりも電話やメールのほうが相手の表情が分からない分だけ意見を述べ易いといったようなことも起こる。元来気の小さな筆者もやはりそうだ。けれど相手も同じように容赦無く自論を展開し、話が纏まらないことも多い。結局会って話したほうが話がすんなりすすみ、自分も納得感が高かったりもする。ここにも相手の顔を読む生物的本能が大きく関係しているに違いない。
 顔を読む能力は会議など多人数を相手にする場合も威力を発揮する。いつも口うるさい人がいつものようにブスッとしている時と、逆に機嫌が良さそうな時とでは、こっちの話の運び方も当然変わってくる。会議とはライブなのだ。
 最近はスカイプなどのテレビ会議システムも発達し、遠隔地どうしの会議もやりやすくなった。けれど相手の一人ひとりの表情がよく見えない場合があり、まだまだ改善の余地がありそうだ。ひょっとすると例えばオリンパスが研究中のこういうシステムにヒントがあるかも知れない。
 
■表情の芸術
 感情の表現について極限まで突き詰めた結果、日本では生身の人間の表情を消し去るためにシテ(=主演者)がいつも仮面を付けて舞う「能」のような芸術も生まれた。能の場合、ひとつの面を付けたまま、光のあたり具合などを変えることでよろこび(テラス)やかなしみ(クモル)を表現する。
 一般的な女人の面はかすかに笑っているように見える。どことなく薄気味悪さを感じなくもない。けれどひとたび役者に付けられ、舞いがはじまると、面は場面場面で様々な違った感情を表現するようになる。能面はたとえに使われるような無表情では決してない。実に絶妙で、豊かな表情を持っている。

■「日本人の微笑」
 日本人の表情についての有名な論考の一つに、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)による『日本人の微笑』がある。彼は、ともすれば西欧人が侮蔑的な「にやけ顔」と間違えてしまう日本人(ここで論じられる日本人とはわれわれ現代日本人のことではない)の「ほほえみ」について、こう語っている。

――(西欧化が急速にすすんでしまった後の)日本はこれから多くのものを見て驚くだろうが、同時に残念に思うことも多かろう。おそらくそのなかで、日本が最も驚くのは古い神々の顔であろう。なぜなら、その微笑はかつては自分の微笑だったのだから――

 そう言えば能面に限らず、日本古来の神仏の表情もまた他に例を見ない独特なほほえみをたたえている。笑っているように見えるその顔は、時として厳しく見えたり、かなしく見えたりもするように思う。同じ仏教圏でも他のアジアの国の仏像の顔にどことなく「違う」ものを感じるのは、日本古来の微妙な表情の神仏像に慣れているせいだろうか。
 自己主張を抑え忍耐をよしとしていた昔の日本人のほうが、もしかしたらこうした表情の機微にはさらに敏感だったとも考えれる(何しろ表情を読み取るためには成長過程でのチューニングが必要だから)。顔の芸術の発達には、表情に対する繊細な感受性が不可欠だろう。
 果たしてわれわれ現代日本人は、ハーンが予言したように、かつての日本の「表情の文化」を失いつつあるのだろうか。
 けれど、ひょっとすると「顔の文化」は、「顔の技術」へのこだわりという別の形でこれからも受け継がれていくのかも知れない。
 
-----Zoom In Zoom Out-----

無印良品
無印良品は、現代においてハッキリとした「顔」「表情」を持たないことで(日本で、そして世界で)成功した、数少ない例の一つかも知れない。

女面
その幽玄なたたずまい
(the能.com 「能面事典」)
[ 2008/01/06 22:15 ] TB(1) | CM(0)
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